Lightning Componentの開発は昨今のフロントエンドの開発と大差ないのか
Lightning Component
Lightning ComponentとはLightning Experience(LEX)上で動作するUIです。 従来のフロントエンド開発と同様にComponentはUIの部品を指しています。 従来はLEXのようなSPAではなく、もっと別のコンセプトがありました。 近年移行が進んでいますが、ユーザーはLEXとClassicを使い分けることが出来ます。 どうしても組織でClassicを使いたいという要件があってもLEXに移行する雰囲気がするのでLightning Component開発に踏み切りましょう。 僕は特にSalesforceのような業務アプリケーションにおいては使いやすさよりもできるか出来ないかのほうが重要視されると考えます。 であれば慣れ親しんだClassicでわざわざ作る理由はないのではないでしょうか。
Sandbox
SalesforceはSaaSです。Lightning Componentを作成しても実行環境が利用中のSalesforce上だと開発中のデバッグには向かないですし、何よりユーザーに迷惑をかける可能性があります。
Sandboxは利用中のSalesforceのスナップショットです。 利用中のSalesforceのデータとメタデータをコピーして環境を作ることが出来ます。
ForceCodeを使った開発
割りと情報がなくて困ったLightning Componentの開発のやり方について説明します。 やり方はいろいろありますが、今回はSalesforceの開発者ツールとVSCodeを使って開発します。
Salesforceの開発者ツールからLigntning Componentを作成します。 開発はこの開発者ツール上で完結することも出来ます。 ですが、今回は慣れ親しんだエディタで開発して、Gitでバージョン管理することを考えて作成したComponentをローカルにダウンロードします。
VSCodeには予めForceCodeをインストールして、Salesforceと認証おきましょう。
$ mkdir -p my-proj/src $ cd my-proj $ touch src/package.xml
src
ディレクトリの下に package.xml
を作ったら
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <Package xmlns="http://soap.sforce.com/2006/04/metadata"> <types> <members>HelloComonent</members> <name>AuraDefinitionBundle</name> </types> </Package>
中身にダウンロードしたいComponentの名前を書いてしまいましょう。 後はRetrieve PackageをRetrieve by package.xmlで実行するとダウンロードできます。 アップロードもForceCodeから行えます。 Lightning Componentの作成だけ開発者ツールでやらないといけないのが煩わしいですね。 注意が必要なのは同期していないということです。アップロードとダウンロードを繰り返すので常に上書きされることに注意してください。
Salesforce Developer Experience (SFDX)
2018年10月から始まった新たな体験です。 Force.com プラットフォーム *1 のアプリケーションを従来の慣れ親しんだ方法に近い形 *2 で開発することができます。 Sandboxではなくスクラッチ組織を作ってすぐに壊すことのできる環境を用意できます。 普段の開発はスクラッチ組織で行い。Staging環境をSandboxとして利用する方法がよいと思います。 その他にもCLIによるスムーズな開発がサポートされており、開発者ツールを利用せず従来のスピード感で開発することが出来ます。 利用するには組織のProduction環境で設定をONにするだけです。
*1: Force.com プラットフォームはSalesforceを構築するための基盤、つまりPaaS のサービス
*2: バージョン管理やCI, CLIツールの利用を指しています
言語
Lightning Componentの開発言語はJavaScriptとHtml、CSSです。 ただし、Salesforceの独自のタグが存在しているので要所では学習が必要になります。 また、JavaScriptはES2015に完全に対応していないため、Objectリテラルに対するスプレッド構文が利用できないです。 キホンはES5での開発だと思ったほうが良いでしょう。
ライブラリ
昨今のフロントエンド開発では切っても切り離せない多数のライブラリがありますが、これは静的ファイルとしてSalesforceに登録することで利用できます。 webpackを使ったbundleではなくライブラリは別にダウンロードされて実行されます。 また、AngularやReactといったライブラリを使いたい方もいると思います。 実際やってみた系の記事を見つけることが出来ますが、Visualforceページを利用したものが見つかると思います。 Lightning ComponentとVisualforceページは異なります。 VisualforceページをLightning Componentの中で利用することができます。
さて、AngularやReactを使う理由はなんでしょうか。Lightning Componentの開発はサポートされており、出来上がるものに差がないのであれば亜流の方法を選択する必要はないと考えます。 独自の価値を生み出すのであれば、利用した方がいいと思いますが慣れないから使うのであれば避けたほうが良いでしょう。 冷静になってください。 実際僕も余りの開発のやりにくさによって衝動に駆られました。
Lightning Design System
Lightning Design SystemはSalesforceのDesign Systemです。 組み込みのLightning Componentにも利用されており、美麗で使いやすいComponentパーツを素早く利用できる仕組みが整っています。 カスタムComponentを作るときには大いに利用しましょう。
結論
SFDXのような取り組みがはじまるくらいには開発がしにくいです。 JavaScriptライブラリの中にはバンドルされて利用されることを前提としてものも少なくありません。 ES2015も満足に使えないため昨今のJavaScript開発に慣れ親しんだ方はヤキモキするでしょう。
一方Lightning Desing Systemは素晴らしいです。 状態に応じたComponentのUIのDOMが手軽に利用できるため見た目に悩むことは殆どありませんでした。
Salesforceを使った自動化はできるのか
ひょんなことからSalesforceを使ってバックエンド業務を自動化することになりました。これはその際に学んだことの記録です。同じくひょんなことからSalesforceを触ることになっちゃった人への道標になれば幸いです。
なぜ記録するのか
Salesforceは巨大なシステムです。そのため、Google検索で手がかりを得ようにも断片的なキーワードから過去のコンセプトに沿った知識を取得してしまい大きく回り道をする可能性があります。そこでLightningだけに焦点を当てて記録することで無関連のワードに惑わされることなく知識を得てもらうことを目的としています。
何を目指したか
例えば次のような要件があるとしましょう。
- ユーザーが入力を行うUI (ページ) が必要である
- ユーザーが入力したレコードは永続化される必要がある
- レコードを使って外部サービスを呼び出し、処理を依頼する
ユーザーのインタラクションをきっかけにSalesforceでの業務を自動化することが目標です。
Salesforceではこの要件をどうやって最短で叶えることができるのでしょう。
Lightning
Salesforceが現在推し進めているコンセプトです。いくつかのサービスやツールをまとめて呼称しています。
この内、Salesforce上でアプリケーション開発をする際のコアテクノロジーとしてLightning Experience、Lightning ComponentやLightning App Builderがあります。
この概要を掴むことのできる最高の資料があります。
はじめようLightningコンポーネント開発 | Salesforce Developers
これをみるとLightningをコンセプトに据えたSalesforceの最新事情がわかります。
Lightning ComponentでUIを作る前に
ここまででSalesforce上でUIを作るにはLightning Componentを作れば良さそうということがわかりますが、作る前に既存のLightning Componentでなんとかならないのか確認をするべきです。
既存のComponentは下記ドキュメントにまとまっています。
Salesforce Developers - コンポーネントの参照
これらの素晴らしいComponentで叶えることができるのであればこれを使いましょう。また、既存の機能をそのまま使えば叶えられることだってあります。リストビューもその一つです。
Lightning App Builderでページを作る
Salesforce上でページを簡単に作るにはLightning App Builderを使います。 ページはLightning Componentの組み合わせから成ります。公開するとSalesforce上のアプリケーションに紐付けることができます。
ApexコントローラーでLightning Componentのリクエストを処理する
Lightning ComponentはSalesforceのレコードを直接読み書きすることができません。そこでApexコントローラーに依頼します。ApexはJavaライクなDSLです。Salesforceからレコードを読み書きするにはSOQLという別のDSLを使います。
Salesforce Developers - Apex とは?
結論
Lightning Component、Lightning App Builderを使ってUIを作り、ApexでSalesforceからレコードを読み書きすることで自動化できそうです。 次回はより詳細なやり方と注意事項についてまとめてみようと思います。
Pythonでデータ分析する準備をし〼。(Numpy激闘編)
データ分析前の準備体操。
Pythonを使うデータ分析
普段データ分析といってもいきなりPythonを使うことはしません
大抵はSQLにより取得できるデータをスプレッドシートへ吐き出し、datastudioを使って可視化することで顧客には十分な価値が提供できます
しかし、精度の向上や独自の仮説構築から検証に至るような過程でPythonを使ったデータ分析が必要になってきます
ちょうど僕も必要になるフェーズになったので今回はまずPython入門としてNumpyの学習に努めて見ます
NumPy入門
- ベクトル生成
- 行列生成
- ベクトルから行列の生成
- 行列のサイズ評価
- 行列の演算
- 配列の操作
- スライシング
- インデクシング
- ブロードキャスティング
行列の転置を忘れていたので思い出す。行列の掛け算もわかりませんでした
学生時代に習ったことを忘れていたのがかなりショック...
面白かったのはNumpyをつかって生成した行列を掛ける際に dot
という関数を使うのですが、これを使わずに掛け算を試みると対応したi行j列をかけ合わせたものになります。
おそらくこれは行列に行列を掛けるブロードキャスティングではないでしょうか
>>> a array([[1, 2], [3, 4]]) >>> b array([[5, 6], [7, 8]]) >>> a*b array([[ 5, 12], [21, 32]])
スライシングをした際にインデックスが2以上2未満の指定で呼び出してみるとからの配列が返ってくるような感じです
>>> a array([[1, 2], [3, 4]]) >>> a[0:2] array([[1, 2], [3, 4]]) >>> a[2:2] array([], shape=(0, 2), dtype=int64)
ところが存在しない行を取り出そうとすると、エラー扱いとなります
>>> a array([[1, 2], [3, 4]]) >>> a[1,:] array([3, 4]) >>> a[2,:] Traceback (most recent call last): File "<stdin>", line 1, in <module> IndexError: index 2 is out of bounds for axis 0 with size 2
特に行列の結合結果が面白いですね。 c_
と _r
を使った結合結果がひと目では理解できませんでした。
>>> np.r_[np.arange(3),np.arange(3)] array([0, 1, 2, 0, 1, 2]) >>> np.c_[np.arange(3),np.arange(3)] array([[0, 0], [1, 1], [2, 2]])
r_
は行列を縦に結合するものであるはずにも関わらず。横に結合されたように見えます。
縦に結合されると6行1列の配列を期待します。
array([[0], [1], [2], [0], [1], [2]])
これの結果の簡略と考えられそうです。
であるのであれば1次元配列からその配列が3行1列なのか1行3列であるのか見分けがつきそうにないですね。
まずは、Numpyによる行列演算について見ていきました。
疑問については仲間に助けてもらいながら教えてもらいます。次回はSciPy。
関数型言語らしい書き方をElmのコードで知る
覚えたての関数型言語でコードを書いてみると何故か関数型っぽくないなーと感じることがしばしばあったので、どう考えて書いていけばよいのか調べてみました。ここでは書籍 関数型プログラミング実践入門 よりトップダウンに考える方法をElmで紹介しようと思います。
対象者
最近、Elmを始めたがいまいち関数型言語らしい書き方がわからない方
わかること
書籍で書かれているように詳しく過程は紹介しません。 それでは始めましょう。
ランレングス圧縮
今回の問題は書籍で紹介されているランレングス圧縮を扱います。 詳しい説明はWikipediaを見ていただくとして、ここでは具体例だけをお見せいたします。
AAABBCCCCAAA -> A3B2C4A3
この通り、ランレングス圧縮とはこのような符号化のことを言います。
命令形言語のエッセンスで解く
まずはこちらをご覧ください。
module RLE exposing (rle) -- >>> rle "" -- "" -- >>> rle "A" -- "A1" -- >>> rle "AAABBCCCCAAA" -- "A3B2C4A3" rle : String -> String rle rawString = case String.toList rawString of [] -> "" h :: t -> aux 1 h (String.fromList t) -- 最初の一文字を覚える aux : Int -> Char -> String -> String aux runLength prevChar tailString = case String.toList tailString of [] -> String.concat <| String.fromChar prevChar :: [ toString runLength ] -- 文字がなくなったらおしまい c :: s -> if c == prevChar then aux (runLength + 1) prevChar (String.fromList s) -- 同じ文字なら連長をカウントアップ else String.concat <| String.fromChar prevChar :: [ toString runLength, aux 1 c (String.fromList s) ] -- 違う文字なら新たに1からカウント
書籍で紹介されているものをElmで書いたものです。forループを再帰で解いた感じがします。 しかし、これだけではどこが関数型言語らしくないのかわかりません。
関数型言語のエッセンスで解く
それでは次に関数型言語のエッセンスで解いてみます。 コードからトップダウンに問題を考えるってこういうことかーと感じていただければと思います。 文字列から文字列への変換の型を満たす関数を考える前に中間構造の型を考えてみましょう。
module RLE exposing (rle) rle : String -> String rle = fromCharAndRunLength << toCharAndRunLength -- >>> fromCharAndRunLength [("A", 3), ("B", 4)] -- "A3B4" fromCharAndRunLength : List (Char, Int) -> String fromCharAndRunLength = cat << rls2strs -- >>> rls2strs [("A", 3), ("B", 4)] -- ["A3", "B4"] rls2strs : List (Char, Int) -> List String rls2strs rls = ["P1"] -- >>> cat ["A3", "B4"] -- "A3B4" cat : List String -> String cat strs = "P1" -- >>> toCharAndRunLength "AAABBBB" -- [("A", 3), ("B", 4)] toCharAndRunLength : String -> List (Char, Int) toCharAndRunLength s = [('P', 1)]
Elm Searchを使うと型から関数を見つけることが出来ます。
すると String.concat
関数が見つかるので cat
を置き換えてみましょう。
hoogleではないものの、Elmにもこういうサービスが有ったんですね。
module RLE exposing (rle) import List.Extra exposing (group) rle : String -> String rle = fromCharAndRunLength << toCharAndRunLength -- >>> fromCharAndRunLength [("A", 3), ("B", 4)] -- "A3B4" fromCharAndRunLength : List (Char, Int) -> String fromCharAndRunLength = String.concat << rls2strs -- >>> rls2strs [("A", 3), ("B", 4)] -- ["A3", "B4"] rls2strs : List (Char, Int) -> List String rls2strs = List.map rls2str rls2str : (Char, Int) -> String rls2str (c, n) = String.concat <| String.fromChar c :: [ toString n ] -- >>> toCharAndRunLength "AAABBBB" -- [("A", 3), ("B", 4)] toCharAndRunLength : String -> List (Char, Int) toCharAndRunLength = List.map toPair << group << String.toList toPair : List Char -> (Char, Int) toPair rls = case rls of h :: _ -> ( h, List.length rls ) [] -> Debug.crash ""
String -> List String
をElm Searchで検索しても見つかりませんが、 List a -> List (List a)
で検索してみると List.Extra.group
が見つかります。
HaskellではChar型のリストがString型と考えるみたいでして、Elmでも同様に考えてみます。
さて、続けて toPair
を実装してみましたが、よく見てください Debug.crash
が登場しています。ロジック上これが呼ばれることはないはずですが、ここではきっちりとプログラム実行中に停止しないようにしてみます。
module RLE exposing (rle) import List.Extra exposing (group) rle : String -> String rle = String.concat << List.map (rls2str << toPair) << group << String.toList rls2str : Maybe ( Char, Int ) -> String rls2str rls = case rls of Just ( c, n ) -> String.concat <| String.fromChar c :: [ toString n ] Nothing -> "" toPair : List Char -> Maybe ( Char, Int ) toPair str = case str of h :: _ -> Just ( h, List.length str ) [] -> Nothing
fromCharAndRunLength
と toCharAndRunLength
はもう不要なので削除します。これで完成です。
どのあたりが関数型言語らしいコードなのか
トップダウンに問題を考えていき、機械的に型を解決していくことで解決まで出来ました。 前者と見比べてみると高階関数と関数合成を多様していることがわかります。 これはボトムアップな思考のまま逐次処理を行うコーディングをしていると見られない関数型言語らしい記述らしいです。 高階関数はトップダウンに問題を考える上で非常に相性が良いとされていました。
やってみたものの果たしてElmでこの解き方が推奨されるのかはわかりませんが、こういう書き方もできるというご紹介でした。
繰り返しになりますが、本投稿は書籍 関数型プログラミング実践入門に紹介されている考え方を踏襲してElmで実装しています。本書にはより詳しく考え方が載っているのでぜひご一読ください。
また、今回使用してコードは次のリポジトリで公開しております。
https://github.com/pastelInc/elm-run-length-encoding/blob/master/src/RLE.elm
Elmでもテストを書こう
Elmでテストを書きましょう。
この文章はElm2 Advent Calendar 2017の22日目の投稿です。
昨日は @cyclone_t さんの YouTube IFrame Player APIをElmから利用する でした。
対象者
Elmのテストに興味がある人が対象になります。
ある程度、他言語でユニットテストを書いたことがある方が望ましいです。
わかること
- Elmのテスティングライブラリはどんなものか
- ElmのテストをCLI上で行うにはどうするのか
- 文字列の一致をテストするElmのテストコードの書き方
それでは始めましょう
Elmのテスティングライブラリはどんなものか
Elmには他の言語同様にテストをサポートするライブラリが用意されています。
suite : Test suite = describe "The String module" [ describe "String.reverse" -- Nest as many descriptions as you like. [ test "has no effect on a palindrome" <| \_ -> let palindrome = "hannah" in Expect.equal palindrome (String.reverse palindrome) -- Expect.equal is designed to be used in pipeline style, like this. , test "reverses a known string" <| \_ -> "ABCDEFG" |> String.reverse |> Expect.equal "GFEDCBA" -- fuzz runs the test 100 times with randomly-generated inputs! , fuzz string "restores the original string if you run it again" <| \randomlyGeneratedString -> randomlyGeneratedString |> String.reverse |> String.reverse |> Expect.equal randomlyGeneratedString ] ]
elm-testがElmにおけるテスティングフレームワークです。テストコードに必要なモジュール一式が提供されています。特徴的なのはファジングを気軽に実行できることです。
ファジングとは、ソフトウェアの不具合(とくに脆弱性を意図することが多い)を発見するためのテスト手法の一つである。ファズ(英:fuzz)(予測不可能な入力データ)を与えることで意図的に例外を発生させ、その例外の挙動を確認するという方法を用いる。ファズテストと呼ばれることもある。 ファジング - Wikipedia
Fuzzモジュールはファジングを強力にサポートします。seedからランダムな入力データを自動で生成してテスト対象コードの入力とすることが可能です。
String型の生成データを例に見ても ""
, "\n"
のような罠となりそうな文字列も生成してくれます。入力を自前で用意しないといけない手間が省ける点でも利用をおすすめできます。
詳しくは Elm2 Advent Calendar で @jinjor さんが記事をかかれています。要チェックですよ!
ElmのテストをCLI上で行うにはどうするのか
Elmのテストコードはブラウザ上で結果を確認する方法とコンソール上で確認する方法が存在します。CIの都合上、一般的にはコンソール上で確認するシーンが多いと思いますのでコンソール上で実行するためのテストランナーをご紹介します。
node-test-runnner
はテストの実行をサポートするだけではなく、初期テスト環境を自動構築してくれます。
$ elm-test init Created ./src Created ./elm-package.json Created ./tests/elm-package.json Created ./tests/Example.elm Created ./.gitignore Starting downloads... ● eeue56/elm-lazy-list 1.0.0 ● eeue56/elm-lazy 1.0.0 ● eeue56/elm-shrink 1.0.0 ● elm-community/elm-test 4.2.0 ● elm-lang/html 2.0.0 ● elm-lang/virtual-dom 2.0.4 ● mgold/elm-random-pcg 5.0.2 ● elm-lang/core 5.1.1 Packages configured successfully!
テストコードが書けたらテストを実行しましょう
$ elm-test Success! Compiled 0 modules. Successfully generated /dev/null Success! Compiled 1 module. Successfully generated ./elm-stuff/generated-code/elm-community/elm-test/elmTestOutput.js elm-test 0.18.10 ---------------- Running 1 test. To reproduce these results, run: elm-test --fuzz 100 --seed 96181054 TEST RUN INCOMPLETE because there is 1 TODO remaining Duration: 242 ms Passed: 0 Failed: 0 Todo: 1 ↓ Example ◦ TODO: Implement our first test. See http://package.elm-lang.org/packages/elm-community/elm-test/latest for how to do this!
テスト結果に注目してください。Todoがあるのがわかると思います。これはテストコード内にtodoを設定しておくことができるAPIが提供されているためです。 それでは実際にテストコードを書いてみましょう
Elmのテストコードの書き方
elm-test init
で作成された Example.elm
を少し変更してみます。
module Example exposing (..) import Expect exposing (Expectation) import Fuzz exposing (Fuzzer, int, list, string) import Test exposing (..) suite : Test suite = describe "Example Test Suite" [ test "should equal" <| \() -> description |> Expect.equal "Elm is functional language." ] description : String description = "Elm is functional language."
これは文字列 Elm is functional language.
の一致をテストしています。
describe
は Test
モジュールが提供しています。これを利用するとテストの名前をつけることができます。ここで定義しておくとテスト失敗時にどのテストケースが失敗したのかがわかりやすくなるので設定をおすすめします。第二引数がリストになっているのは複数のテストケースを渡すことができるからです。テストケースは test
で実行しています。第一引数でテストケースに名前をつけています。第二引数でテストの詳細を実装します。実際には関数の実行結果をテストすることになります。
elm-test 0.18.10 ---------------- Running 1 test. To reproduce these results, run: elm-test --fuzz 100 --seed 1753188457 ↓ Example ↓ Example Test Suite ✗ should equal "Elm is functional language." ╷ │ Expect.equal ╵ "Elm is functionall language." TEST RUN FAILED Duration: 261 ms Passed: 0 Failed: 1
テストをわざと失敗させてみました。するとこのように失敗したテストの詳細がターミナル上に出力されます。
等価性を判定する Expect.equal
の他にも様々なAPIが提供されています。
より実践的なテストコードの書き方は node-test-runner
のexampleコードが参考になります。
node-test-runner/TestsFailing.elm at master
このテストコードでは先に説明したFuzzモジュールを使ったテストも体系的に学ぶことができるので、 git clone
コマンドを実行して是非手元で試してみてください。
まとめ
- elm-testを使おう
- node-test-runnerを使ってテストを実行してみよう
- Expectモジュールが提供するAPIを使ってテストコードを書こう
明日は @zaneli@github さんの Elm + native moduleでドラッグ&ドロップしたファイルの情報を取得する です!
フロントエンジニアとしてUXに触れる取っ掛かりとしてのコンテキスト
この文章はFringe81 Advent Calendar 2017の7日目の投稿です。 また、この文章で述べる考えはUX DAYS TOKYO主催のワークショップ、コンテキストの理解と実践に基づいております。
対象者
- フロントエンジニアだけどUXという言葉しか知らない方
わかること
- コンテキストはUXの一端を担っている
- コンテキストの種類
それでは始めましょう
UXって何?
はじめにこの文章中でのUXについて定義してみます。 この文章中でのと断ったのには理由があります、UXという言葉は色んなシーンや人によって解釈されていますが、決まりきった定義がないと私が考えているからです。 気になる方は情報を収集してみてください。山ほど資料が見つかるはずです。
UX = ユーザーのタスク + コンテキスト
今回はこのようにUXを解釈します。みなさんがサービス開発者であればユーザーは何らかの目的をもってサービスを利用するはずです。ここで言うところのユーザーのタスクとはこのことを指しています。ユーザーのタスクとコンテキストがあってUXとなります。次にコンテキストについてお話します。
コンテキスト
エンジニアであればよく議論の最中にもコンテキストという言葉を連呼されている方もいるのではないでしょうか。UX世界でのコンテキストとは「状況」「環境」「前後関係」のようなユーザーのタスクを達成する上で影響を与える事柄と捉えます。
例えば、上記の画像からコンテキストを読み取ると、片手でデバイスを操作、一人、うつむきながら、といったことがコンテキストに当たります。移動していそうと言うような事実ではない想像の域を出ないものはコンテキストと考えないこととします。
普段開発しているときにはついつい画面の中だけで完結しがちですが、コンテキストを考慮するとより広いユーザー体験を設計できるようになります。
コンテキストの種類
コンテキストには7つの種類があるとCennydd Bowles氏の記事で語られています。
- デバイス
- 環境
- 時間
- 行動
- パーソナル
- 場所
- ソーシャル
特に一番気になるのは5の個性についてです。
スマートフォンを常にユーザーと共に、あるいは少なくとも手の届くところに置いていると親しみを感じ、そこにパーソナルスペースを見出します。(中略) それらは、私たちが秘密を打ち明けられるパートナーであり、かつ超人的な力を与えてくれるツールなのです。(中略) このパーソナルスペースが侵害されると、人は強く反応します。煩わしいSMSのスパムを誰もが嫌がることや、掲示板での痛烈な議論もそうです。。ポータブルデバイスを利用したサービスを考えているならば、ユーザーがそれを使おうと選択した時点で、こうしたパーソナルな性質があることを考えるべきです。 コンテキストを理解する(切り口-5: パーソナル) | UX TIMES
パーソナルスペースは人が持つ安全圏のことであり、一般的に親しい人ほど近くにいても嫌悪感がないことが多いです。公共交通機関で間隔を開けたがる人が多いのはこの性質によるものと考えられます。 普段私達が使うデバイスもパーソナルスペースに侵入している以上ある程度心を許す存在です。PCよりもスマートフォンの方が常に持ち歩いている分、親しい感じがするのではないでしょうか。
当然親しい存在のスマートフォンで運用するサービスもユーザーのパーソナルスペースにいることに気を配るべきだと思います。必要のない通知を送っている場合などは気をつけたほうがいいかもしれません。
実は、コンテキストはここで紹介されている7つだけではないです。 常に想像を膨らませて各々のサービスでのコンテキストを考えてみてはいかがでしょう。
コンテキスト全部盛りでサービス作ればいいの?
コンテキストは必ずしも盛り込まないといけないものではないです。コンテキストがユーザーの行動に特に影響ない限りコンテキストの優先順位は高くありません。大切なのはサービス開発する上で、どのコンテキストを選択するのか (大切にするのか) ということです。 コンテキストが変わらないものでない以上、時代やシーンに合わせて考え直していくことが重要です。
まとめ
- コンテキストとはユーザーのタスク達成に影響する様々なこと
- コンテキストを考慮すると画面外のことにまで気に出来るようになる
- コンテキストには7つの代表的な切り口が存在する
- コンテキストの切り口はもっと存在する
- どのコンテキストを選択するのかが大切
転じてElm meetup Tokyo #4に参加してElmerたちと触れ合った
突然ですが転職しました。8月からFringe81という会社で働いています。で、Elmを使い始めました。
最近ようやくElmの入り口に立ったばかりですが、Elm meetup Tokyo #4について記事にしてみます。
セッションは全部で3つとLTがいくつかありました。場所は弊社Fringe81だったので自分は運営に徹していましたが所々で参加できました。
複雑化するUIにどう立ち向かうか
セッション2つ目は@arowM_さんの発表でした。 まず前提としてElmと他のAltJS言語との大きな違いについて ElmはWebフロントエンドをかんたんにすることが目的 だと語られていました。 言語としての完成度 (あれこれ構文が揃っているとか) を第一で考えているのではなくあくまで必要なら構文は用意するというのが言語的特徴らしいです。 実際、Elmは学習コストが少なく目立ったハマリポイントもあまりないような気がしてます。 加えて、直感的に書いてしまったところではElmコンパイラに度々指示を受けることもしばしばですが、実行時エラーは驚くほど少ないです。 ここで語られてた背景を情報ソースとともに教えてほしかったのですが残念ながら機会がありませんでした。 後大切なこととして、手段にこだわらず、目的にあった最適な方法を取るべし とおっしゃっていました。 Elmでアーキテクチャを考える時には簡単な舞台が用意されています。その舞台でどういう方法を取るかは課題によって変えることができると感じているのでガッチリハマった気がします。
次に話題はCSS関連の話に移ります。CSS ModuleはElmでも人気のトピックらしく懇親会でもレスポンシブルへの対応をどうやっているのかと言う感じの知見を求める声を聞きました。論点はCSSとどう付き合っていくかということが多かった気がします。
elm-css
やstyle-elements
の良し悪しははっきりと別れていないみたいです。どちらにしてもelm-css
は一つの解決策ということで紹介されていた印象です。
複雑化するUIにどう立ち向かうか - Elmの思想に学ぶ現代的なWebフロントエンド開発手法
スライドもElmで作られています!
実プロダクションで使った話
セッション3つ目は@jshosomichiさんの発表でした。 Elmはいい先生になるという言葉の通りElmを使うことでElmから学ぶことが多かったと語っておられました。 思考に注力させてくれる事が多くなって、Elmの型定義からPure JSで例外にするべきパターンが見えてくると言っていたのが刺さりました。 まさに今自分は学んでいる途中なのですが、新しい視点を得られて明日からのコーディングの楽しみが増えるセッションでした。
懇親会
なんと懇親会の出席率は100%でした。 様子はと言うと皆さん自分が考えているプロダクトの話やアイディアについての話、知見を求める話やElmの将来の話など多岐にわたっていた印象です。 話す内容が一つのトピックに集中しない感じがまだまだ発展途上のElmらしさでしょうか。
終わってみての感想
Elmはまだまだ日本では利用者が少ない言語です。 懇親会でも関数型プログラミングの基礎についてといった初学者向けの話はあまりなく、すでにHaskellやElixirを習得している方も多くいらっしゃいました。 JSerの方がいきなり入りにくい土壌ではないのでどんどん入ってきてほしいと思います。一つのムーブメントが起きてElmがもっと日本中で使われるようになり議論が活発化してElmの未来を大いに語れる日が来ると良いなあ。 これからもElmと付き合うことになると思うのでまたアウトプットしていこうと思います。ではノシ