カンバンによるプロセスづくりの紹介
カンバンというメタプロセスをご存知でしょうか。近頃、僕はカンバンでプロセスを改造するようになりました。 今日はその一区切りとして、今までやってきたことをまとめて紹介しようと思います。
カンバンというメタプロセスに期待していたこと
チームができてからメンバーはとても頑張ってくれていました。しかし、四半期が終わったあとの振り返りで、「誰が何をやっているのかわからない」という意見が。確かに、チームは個人プレーで作業を頑張っている印象があったんです。繰り返し聞いてみると、それによって「心理的に安心感がない」「リリースが遅くなる(手伝わなくなるから)」といった重要である理由が見えてきました。
これは取り組んだほうが良さそうだ。僕は思いました。ですが、作戦を練ることが難しかった僕はアジャイルひよこクラブでこの課題について聞いてみることにしました。
agile-hiyoko-club.connpass.com
そこでカンバンというメタプロセスの考え方に触れて、これならプロセスを改造することで作戦を立てられそうと思い立ったのです。
- 改善活動
- 見える化による議論
- WIP制限による協力機会の創出
- リソース効率化とフロー効率化のバランス
- リードタイムなどで自分たちの改善結果による影響を知る
いづれもカンバンによるプロセスの改造で、きっかけを作ることができます。 カンバンはメタプロセス。だから、カンバンによるプロセスづくりをした上で、当初の課題に対する根本的原因へのアプローチをしてみようと考えていました。
やってみたいと打ち明けた
ランチの時間。思い立った僕はチームにカンバンをやってみたいと話してみました。リーダーであるため合意形成の必要はないかもですが、お互いの期待値をすり合わせることは大切。実際にプロセスを動かすのはメンバーなのでメンバーと話を行いやることにしました。
カンバンボードを作成
まずはカンバンボードを作成してみました。チームでワークフローを書いてみると互いの認識が違ってて面白かったです。ここで議論が発生。
次に作業項目を書き出してもらいマッピングしていきました。サブプロジェクト(社内の改善活動)での作業も出てきましたが、これはチームでの作業を妨げる要因であったため、ブロック要素としました。ここでも議論が発生。
議論の機会が何度も訪れて、自分以外の作業について感心を持っていてくれたのが嬉しかったです。これも「見える化による議論」ですね。
朝会はカンバンボードを囲む
朝会はもとからやってましたが、カンバンボードを新しく囲むようにしました。
自分が担当していた作業が終わったメンバーが次に何をしたらよいか考えていたときです。この作業を手伝ったら?ともちかけてみました。なにか手伝えることあるかな?専門性が高い作業になってしまっていると協力機会を逃してしまいますが、幸いにもできることがあったので狙い通り協力機会を創出できました。
またあるときには、やりたいけどできない作業が発生していました。ブロック要素です。こういったものには経過日数を書き込んでいきました。例えば、レビュー完了までに5日かかっていることがわかりました。チームはこれを問題視することができ、早く終わらせるためにできることを考えることができました。
カンバンボードの変遷
カンバンボードはたえず変わっていきました。新しい列ができたり、列がなくなったり、呼び方が変わったりしています。自分たちのワークフローに合ってないと感じたらいつでも変わります。
WIPを制限してなかった
するとしばらくして、カンバンボードにない作業が発生していることがわかりました。カンバンボードに載せ忘れていたことが原因みたいですが、このときWIPを制限していませんでした。 まずはカンバンボードになれてもらうとして設定してなかったのです。次にボトルネックとなるところだけ設定していました。詰まりは解消されたのですがいつでも増える作業を抑制することはありません。メンバーは終わらせることよりも新しい作業を開始していたのです。
その後、チーム全体のWIPを制限しました。WIPに対する理解を得るためにコイン渡しのゲームやWIPが増えるとどうなるのかを説明しました。
チームに起こった行動の変化
プロセスを改造してやっと下地ができたところ。まだまだ道半ばです。変化を促すのはこれからなのですが、ここまでの取り組みで起こった行動の変化をまとめます。
- メンバー間の会話が増えた
- 協力して作業を進めることがあった
心理的にはどんな変化があったのかわかりません。振り返りでは「俯瞰して見えるようになった」、「チームやタスクの状態に合わせて適宜改善している」といったポジティブな意見を聞くことができました。
いかがだったでしょうか。ようやくカンバンに基づくプロセスづくりのスタートラインに立つことができました。仕事の成果は今の所変わらず生み出せており、ステークホルダーにも満足いただいているみたいです。
今後の改善活動や流れの管理によるわかったことは、また別途学びとしてまとめてみようと思います。